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『蝉しぐれ』遂に映画化
10月1日、ロードショー
美術監督は太地出身の櫻木晶さん


 日本の原風景を見事に描き出した藤沢周平の小説『蝉しぐれ』(文芸春秋刊)が遂に映画化(黒土三男監督・脚本)され、10月1日(日)全国劇場で封切放映される。この映画で美術監督を務めたのが太地町出身の櫻木晶さん(68)。一切の妥協を排除して脚本づくりから取り組んだ黒土監督は、日本映画美術界屈指の美術監督と称される櫻木さんとのコンビで原作の舞台設定の忠実な再現や、登場人物のリアリティー性にこだわり続けながら、15年の歳月をかけて完成させた。小説以外では表現できないと言われた透明感を映像化したと早くも高い評価を受けている。
 原作者の藤沢周平は、「普通に生きる」人々の強さと優しさを一貫して描き続けた作家。混迷する現代に一条の光のごとく感動を与え続ける藤沢作品の中でも『蝉しぐれ』は最高傑作と称される。
 物語は、貧しいながらもつつましく生きる文四郎が少年期から体験する辛苦と、幼なじみ・おふくとの切なく美しい恋を縦軸に展開する。世間に誤解を受けて切腹させられる父への想い。父を恥じずに母を助け、賢明に勉学と剣に励み、初恋の人を一生想い続ける文四郎の姿に、120万人を超える読者が共感し、涙した。
 『蝉しぐれ』では、セット技術の高さも作品の特筆すべき要素のひとつと言われる。特に「海坂藩」の舞台となった山形・羽黒町では、ロケ支援実行委員会の協力と、地元の篤志家から提供を受けた1万坪のスペースを活用し、主人公たちが暮らす組屋敷のセットをゼロから作り出すチャレンジが行われたという。

【キャスティング】
 主人公・文四郎に伝統芸能・歌舞伎の世界を担い、演劇・ドラマと幅広い活躍を見せる市川染五郎。文四郎の幼なじみで清く悲しい恋の相手になるおふくに演技派女優・木村佳乃。父・助左衛門に緒形拳、母・登世に原田美枝子、親友・島崎与之助に今田耕司、小和田逸平にふかわりょう、さらに大地康雄、小倉久寛、緒形幹太、田村亮、柄本明、加藤武、大滝秀治ら日本映画界最高の布陣が脇を固めている。
 【櫻木晶さん】太地町出身。県立新宮高校8回卒、武蔵野美術学校(現大学)を経て東宝へ。美術監督として黒澤明、市川崑といった日本を代表する監督とともに作品づくりに励む。1991年の「夢」(黒澤監督)と97年の「八つ墓村」(市川監督)の二度にわたり、日本アカデミー賞(優秀美術賞)と日本映画技術賞(最優秀美術賞)を受賞。平成9年東宝を退社し、日本美術映画監督協会理事を務める。※櫻木晶さんは、疋田眞臣編集代表、南紀州新聞社編集『熊野TODAY』(はる書房)の「熊野人物点描」で紹介されている。



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