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本質失えば衰退
新宅教諭が「熊野詣と黒人音楽」講演
古座高コミカレ


 串本町の古座高校で14日、 新宅俊夫教諭が 「熊野詣の300年と黒人音楽の30年」 をテーマに講演。 地域も時代も違う両者が隆盛しながらも、 本質を失い衰退した共通の歴史を紹介し、 「信仰や芸術は経済原理や政治的思惑から離れて存在すべき」 と訴えた。
 同校が地域の自然、 歴史、 文化に理解を深めてもらおうと開催しているコミュニティーカレッジの第五弾。 古文の朗読があるかと思えば、 一転ジャズが流れる異色の講座となった。

 熊野詣は白河上皇の院政時代に都で熊野三山を統括する検校、 現地で統括する別当が設置され洗練化。 現世と来世の利益を叶えるとして、 純粋な信仰を集めた。
 ところが、 もっとも御幸が多かった後白河、 後鳥羽上皇のころ変化が訪れる。 源平争乱の時代で、 武力・財力を持った三山が政争に利用され、 信仰本来の姿が見失われていった。
 一方、 アメリカの黒人は厳しい人種差別の歴史と戦いながら、 ゴスペル、 ブルース、 ジャズの独自の音楽を育み、 3つが融合して洗練化された 「R&B」 (リズム&ブルース) が全土に広まる。
 さらにゴスペル色の強い 「ソウル」、 社会へのメッセージ性が強い 「ニューソウル」 へと発展。 差別を乗り越えるプライドを表現。 音楽こそアイデンティティとなった。
 ところが、 経済の力に押され、 踊らせる音楽を作れば売れるという商業主義に陥り、 純粋な黒人音楽の精神は見失われた。
 新宅教諭は 「既存のものを洗練化することで、 純粋な思いが多くの人に受け入れられるが、 本質を失って継承すると経済至上主義、 政治的策略に巻き込まれてしまう」 と警鐘を鳴らした。

文化拠点の役割果たす
全5講座に350人


 古座高校が 「紀南の自然、 文化、 歴史を学ぶ」 をテーマに開いたコミュニティーカレッジが14日で全5講座を終了した。 同校教員をはじめ、 外部からも講師を招き、 多彩な講義を展開。 8月28日にスタートし毎回約70人、 延べ約350人が参加した。
 南方孝之校長は 「身近な地域に驚き、 発見があり、 知る楽しみを味わってもらえた。 文化拠点しての役割が果たせた」 とニッコリ。 「事前学習して参加してくれる人もいるなど目を輝かせていて、 地元の知識欲はすごいと実感。 生涯学習の一環としてニーズが大きく、 来年度は1年間通じ、 毎月1回の開講を検討している」 と話している。
 同校卒業生で 「皆勤賞」 の50代男性は 「地元が題材で面白い。 学校では教わらなかったことばかり」 と来年度の開講を楽しみにしていた。


「熊野詣の300年と黒人音楽の30年」 をテーマに講義する新宅俊夫教諭

目を輝かせて聴き入る聴講者 (第5回講座) =14日、 串本町の古座高校
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